ガーデン ご紹介

花花

へスタークーム・ガーデンズ   Hestercombe Gardens
               2012年6月8日 訪問  水色枠の写真はクリックすると拡大写真になります。

へスタークーム・ガーデンズも3回目の訪問になる。私が最も感動を受けたイングリッシュ・ガーデンの一つだ。
ここには3世紀にわたる3つのスタイルのガーデンがある。すなわち、18世紀のランドスケープ・ガーデン(Georgian Landscape Garden)、 19世紀のテラス・ガーデン(Victorian Terrace)、20世紀のフォーマル・サンクン・ガーデン(Edwardian Formal Garden)の3つだ。
14世紀からの居住者であるワーレン家(Warre family)が16世紀に建てた家が現在の基礎だ。子孫の Coplestone Warre Bampfyldeが 自ら設計して1750年から1786年に掛けて造り上げたのがランドスケープ・ガーデンだ。
1873年からポートマン子爵家(Viscount Portman family)の所有となり、ハウスの増築が行われ、ヘンリー・ホール(Henry Hall)によりハウスの前に テラス・ガーデンが造られたのだ。
1903年、エドワード ・ポートマン閣下(Hon Edward Portman)がエドウィン・ラチェンス卿(Sir Edwin Lutyens)とガートルード・ジキル(Gertrude Jekyll)に 依頼し、フォーマル・サンクン・ガーデンを造らせたのだ。完成は1907年だ。歴史あるガーデンなのだ。

Hestercombe Hestercombe Hestercombe Hestercombe

ハウスの北側の森の小道を通ってダッチ・ガーデン(Duch Garden)に向かう。森が開けたところから見える給水塔と大木の風景は変わらない(写真上左)。 何か故郷に帰ったような感慨がある。
こちらも懐かし"Chinese Gate"(写真上右)から入場しようとしたら今年は閉まっている。前2回はここから入ったのに2010年にオープンした "Woodland Barn"を経由しての順路になったようだ。Woodland Barnでは修復した一連の17世紀の水車(Water Mill)にまつわる展示がされているがパス。
ダッチ・ガーデンは欄干の美しい階段(写真下左から2枚目)を上ってテラスにある。ラムズイヤー、キャットミント、ラベンダー、ローズマリーなどの ハーブを主体としたシルバー・ガーデンだ。通路の石板のデザインも巧妙だ。6つある壷型のコンテナが新しくなっている。以前は白い石製だったが、 今回はテラコッタになっている(写真上中2枚)。植栽も最近改められたのだろう、ボリューム感に欠ける。
階段を下りて西に進むと地元の"Ham Stone"の壁とテラコッタのタイルの屋根が瀟洒な温室(Orangery)がある(写真下右から2枚目)。 温室前の芝(Orangery Lawns)も石板の通路でデザインされている。温室の西の円形の階段(写真下右)を上ると丸い池と噴水があるロタンダ(Rotunda 円形広場)に出る。

Hestercombe Hestercombe Hestercombe Hestercombe

ロタンダの西の円形階段を下りるとハウス前の"Victorian Terrace"だ。中央に噴水を挟み東西に芝の広場がある。その芝にはそれぞれ2つの花壇があり、 それを囲むように9つのスタンダード仕立てのバラが植えられている(写真下左から2枚目)。前回満開だったバラ・アイスバーグは今年はまだ蕾が固い。
ハウス側以外の3方は美麗な欄干で囲まれその足元は背丈を短めにすっきりコントロールされたボーダーだ(写真下右から2枚目)。
ビクトリアン・テラスから南側に一段下がったところを東西に伸びるボーダーが"Grey Walk"だ。2002年始めて訪れた時に衝撃的感動を受けたガーデンだ。 今年は植物の生育が悪く期待が大きかっただけに少し残念な状態だ。
へスタークームのハイライトであるエドウィン・ラチェンスとガートルード・ジキルが造ったフォーマル・サンクン・ガーデンは、 北をこのグレイ・ウォーク、南を70mのパーゴラ(Pergola)、東西をせせらぎが流れるテラス(East and West Rills)で囲われた一段下がった地所(Plat)に造られ "Great Plat"とも"Sunken Parterre"とも呼ばれる。ダイナミックなデザインだ。
その東のテラス"East Rills"が写真下左だ。ロタンダの池から流れ出だした水がせせらぎとなって中央の水路を流れ、水生植物を育てる。 ところどころに円形のスポットがありアクセントとなる(写真を拡大するとその写真も)。写真の右側がフォーマル・サンクン・ガーデンだ。

Hestercombe Hestercombe Hestercombe Hestercombe

フォーマル・サンクン・ガーデンは四隅に円形階段(写真下右から2枚目)があり、対角線上に芝の通路が伸びる。その交点にサンダイアルがある(写真下右)。 ビクトリアン・テラスから見下ろした写真が下左から2枚目だ。手前にグレイ・ウォーク、奥にパーゴラが伸びているのが見える。
写真上右がサンクン・ガーデンの北西角からハウスを見上げた図、下左が南東角のパーゴラの上から見下ろした図だ。 ここも生育が遅れているのか少し寂しい感じだ。潅木や宿根が大きくなりすぎて全体のバランスが崩れているように見受けられる。 ガートルード・ジキルの提唱するカラースキムが崩れては看板が泣く。

Hestercombe Hestercombe Hestercombe Hestercombe

南端のパーゴラは70メートルにも及ぶ(写真下左から2枚目)。石の柱に高々と木の梁と桁が通され。バラ、クレマチス、ハニーサックルなど つる性の植物がクライミングしている。石板の通路の脇にはバラ、ラベンダー、ラムズイヤーなど分厚い植栽だ。
ハウスもガーデンも第二次大戦中は英国軍の第8部隊司令部として使われたり、アメリカの連隊本部としても使われアイゼンハワーも訪れたことがあるという。 その後アメリカ軍の病院として使われ33の建物があったという。
1978年にサマーセット州議会(Somerset County Council)の所有となり、1973年に育苗小屋で発見されたオリジナルのデザイン図を参考に修復作業が行われ、 2003年からは"Hestercombe Gardens Trust"によって管理されている。

Hestercombe Hestercombe Hestercombe Hestercombe

東西のせせらぎが流れるテラスはパーゴラとの交点で小さな方形のリリー・ポンドに流れ落ちる。池には睡蓮が咲き金魚が泳いでいる(写真下左から2枚目)。 またパーゴラの東西の壁には楕円の窓が開けられ、緑豊かな田園風景が見渡せる(写真上左)。
石の壁や敷石の隙間などにはエリゲロン、セラスチウム、カンパニュラなどが程良く蔓延り、心を和ませてくれる(写真上右から2枚目)。 この程の良さはどうコントロールしているのか、うらやましい光景だ。
West Rillsの北端、東のロタンダに対応する場所に小さなローズ・ガーデン(Rose Garden)がある(写真上右)。 エドウィン・ラチェンスがデザインしたガーデンだ。ここのバラは勢いも良くこれからが楽しみだ。
18世紀のランドスケープ・ガーデンの入り口だけ眺めて帰ることにする。南の端に"Pear Pond"がある。洋ナシの形をした池だ。 白鳥が悠然と泳いでいる。池の北の高台に"Temple Arbour"というトスカーナ風東屋が見える(写真下左)。あそこまではちょっと遠いので、 極入り口の"Octagon Summerhouse"の下までで終わりにする。今度来る時にはランドスケープも一巡りしよう。

Hestercombe Hestercombe Hestercombe Hestercombe

Information
 Address  Cheddon Fitzpaine, Taunton, Somerset TA2 8LG
 Telephone  01823 413923
 Web Site  Hestercombe Gardens

オープンの日・時間や入場料は Web Site あるいは Gardens Finder
Gardens Guideで確認ください。

「旅行記」もご覧ください。

ご意見・ご感想・ご質問などご遠慮なくお寄せください。
book

home

花花